哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

アダム・スミスについて その2

 母校のグラスゴー大学で倫理学教授になり、その頃に出会った哲学者ヒュームとの親交は、スミスの思想に大きな影響を与えたそうです。また、時代背景としてはスミスが生きた18世紀のイギリスは政治の民主化や近代西欧科学の普及、技術革新に経済発展などの輝かしい面もありましたが、その裏には格差や貧困、財政難に他国との争いといった社会問題を抱えていたのです。この「社会の光と闇」という二面性を持ったイギリス社会は彼の思想に大きな影響を与えたとされています。そんな彼も他の哲学者と同じく、大学に勤めながら著書「道徳感情論」を出版、1763年頃にグラスゴー大学を辞めて、貴族の家庭教師としてフランスやスイスを3年ほど旅行しました。
 その間にフランス啓蒙思想の重鎮と交流を持つなど、自身の思想を深めることは続けていたそうです、そしてイギリスに帰国後は執筆に専念して、1778年頃にスコットランド関税委員に任命され、1787年頃にはグラスゴー大学の名誉総長に就任したそうです。そして、1790年頃に病により、67歳で世を去りました。

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