哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

ジャン=ジャック・ルソーについて その9

 「学問芸術論」の当選がきっかけで漸く、ルソーの思想が注目される様になりました、ただ当時は教会や政府には受け入れられず、待遇は決していいとは言えませんでした。それでも、彼の哲学は後世に多大な影響を与えたのです、その中でも代表的な著書の1つが「社会契約説」です。これは社会契約に基づく民主社会の成立を論じた著書で、この中でルソーは、公共の利益を求める「一般意思」の指導を主軸に、人々が自己をあらゆる権利と共に、共同体へ全面的に譲り渡す社会契約を説いています。このルソーが唱えた「一般意思」とは、公共の利益を目指す普遍的な意思を指した言葉で、彼の社会契約理論の基本原理となっているものです。
 一般意思は、人民自身の意思であり、その権利を委ねるという事は、自分自身に従う事と同じ事であり、人民は自らが制定した法に従う事になる。と、これだけ読むと難解に思えるでしょうが、要は階級など関係なく、全員が平等の権利で選び、そうして選んだ法律に従うという民主主義に繋がる考え方です。貴族、平民、労働者など生まれた時から階級が決まっていて、それに従う事が自然だった当時のヨーロッパでは、こうしたルソーの思想は斬新で衝撃的だったのです。

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