哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

ジャン=ジャック・ルソーについて その8

 少し長くなりましたが、ここにきて漸くルソーの哲学について触れます、それが前回の記事の最後に触れた化学アカデミーの懸賞付き論文の募集広告です。その課題内容が「学問及び芸術の進歩は道徳を向上させたか、あるいは腐敗させたか」です、この時に閃いたことをルソーは30分ほど精神が高ぶり、動けなくなったそうです。また「これを読んだ瞬間、自分は他の世界を見た。自分は他の人間になってしまった」という様な感想を持った、と述べているそうです、こうしてルソーが30歳頃に書き上げたのが「学問芸術論」が見事に当選して、ルソーは一躍注目を集める事になります。
 この当選がきっかけになり、以前は落選した「人間不平等起源論」など、様々な著作を刊行していきます。ですが、当時の教会の諸制度を否定する自然宗教を唱えていた事で、政府と教会の両方から反感を買い、スイス、イギリスに逃亡することになります。このストレスが原因となり、ルソーは被害妄想や精神的苦痛に襲われる辛い時期を送りますが、晩年はパリの郊外で平穏な日々を過ごしたそうです。そうした事も含めて、自分の赤裸々な事は後に刊行する「告白」に記したそうです。

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