哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

ジョージ・バークリーについて その3

 さて、ジョン・ロックの提唱する思想に新たな解釈を加え、新たな「観念」を説いたバークリーですが、彼は「印象」についても独自の理論を説いています。バークリーは「想像」が精神による故意的な創造物であるのに対し、月や山に対する「印象」は、精神が勝手に作り出せるものではない。それゆえに、あらゆる「印象」というものは精神以外のもの、つまり「神」によってもたらされている「受動的観念」であると説いたのです。つまり、世界から元からあるモノから受ける「印象」は、神が与えている、という事です。
 彼はロック的認識論を利用して、有神論的唯心論の立場を取ったのです、この様な神の創造摂理を根拠として、実在世界は根本的に肯定されることを説いたバークリーの哲学の近代性と史的意義は、主としてロックが提唱する自身の社会契約論を展開する一方で、人間は白紙として生まれる、という経験論の思想を受け継いでおり、それを徹底してから新たな哲学者に橋渡しをしたのでイギリス経験論の発展にも貢献した、とも考えられています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください