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4.モノに収まり切らない心

ところが、モノに収まり切らないのが人の心なのです。
先述の友達との仲直りの場合、プレゼントという方法がまずかったのであり、他の方法があったのに、という考えもあるかもしれません。
仮にプレゼントをあげる事で仲直りできた場合は、モノの操作による一つの方法がたまたま心に働きかけるのに成功したに過ぎず、心におけるすべての事例が、モノを利用する事で、心を思い通りに操る事が出来るという事ではありません。
それどころか、モノをどう利用としようが、友達との仲を永遠に修復できない事もあり得ます。

以上の事により、モノに影響されない心の存在がある事は明らかなように見えます。

一方で、モノからなる世界があり、それには私たちの脳や神経も含まれます。
他方で、それ自体が物質的ではなく、モノの支配の及ばない心という領域があります。

そして、身体がモノ的、つまり、物質的であるのに対して心が物質的ではないと思われる限り、古来からの哲学的問題である心身問題が生じてきます。
哲学的に言えば、これは非物質的な心がどうやって物質的である身体に因果的な力を及ぼす事が出来るのか?という、因果性をめぐる問いになります。

なぜ、この問題が難問とされてきたのかを見るには、身の回りの因果関係がどのように成り立つのか、どのように説明されるのか、に注目するのがいいでしょう。