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1.心とはモノか?

「心は本当はモノだ」と言われたならば、どう思うでしょうか。
換言すれば、「私たちが心だと思っているものは、唯の脳や神経の働きでしかない」、または、「だから『心』なんてない」としてもよいのですが、以上のような事を聞いたならばどんな思いを抱くでしょうか。
私たちの心の活動は全て脳で生じているのだから、それは当然だと思うでしょうか。
それとも、心は脳の働きだけでは説明できない「かけがえのないもの」なのだから、そういう考え方は間違っている否定するでしょうか。

私たちの生活において、自分や他人がもつ「心」はなくてはならないものに違いありません。
例えば、私が、誕生日を迎えた友達にプレゼントを贈ろうとするのも、その友達がプレゼントを受け取ったときの「喜ぶ」という働きをする心の存在を認めているからであり、侮辱を受けたとき「くやしい」と感じるのも、そのように感じる心が備わっているという自覚があればこそであります。

人の様々な行動は、行動する人のそれぞれの心(の働き)を中心に行われているように見えます。

そればかりか、心はかけがえのないもの、つまり、単に「モノ」とは引き換えに出来ないものだと思われています。
自分や他人が傷ついたとき、その修復は「モノ」を引き換えに出来なのです。