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8.物質的なものとしての心

それではこれまでの考え方のもとで、物質的なものとしての心の働きはどう説明できるのでしょうか。
説明が簡単でない事は容易に解かる筈です。
例えば、学校に行こうとすると必ずお腹が痛くなる子供を考えてみましょう。

彼は学校に行きたくないのは間違いありません。
その気持ちに逆らって学校に行こうとすると腹痛に見舞われます。

「毎朝必ずおなかが痛くなるのは学校に行きたくないからだ」という説明は、ストレスが身体に与える影響について多少の知識や経験のある大人ならば容易に理解できるものです。
しかし、問題は、この現象に医学的な説明がなされた後にもなお、登校を嫌がる彼の心の状態が、「物質的な働きとは別に」という意味で、腹痛に対して因果的作用をもつと理解できるかどうかです。

人間が何かストレスを感じると神経などはそれを避けるように働くと言います。
その上に、過度のストレスは体調不良につながります。
そのメカニズムを医学的に説明できれば、その説明が可能ならば、子供の腹痛の原因になっいるのはストレスによる身体組織の異常であって、学校に行きたくないという気持ちではないと説明できます。

つまり、彼は腹痛になるということは心の問題ではないということを医学的に立証しようとすることを行っているのです。