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10.試みの結論

先述の①と②の怒り易さを比べるのに、十分なサンプルのもとでデータを取るのが最も望ましいのですが、それが出来ないのであれば、思考実験の範囲内で想定する事が出来ます。
腹痛は、例え登校を嫌がらずとも起こり得ます。
例えば、せっかく楽しみにしていた遠足の日に腹痛になって困った経験をした人もいるのではないでしょうか。
譬え、他の心的状態が生じても、そして、その時の子供に生じていた心的状態がいづれも腹痛に関連がなかったとして、腹痛は生じたでしょう。

それに対して、身体組織の異常の方は、それが起これば必ず腹痛が生じる事が医学的に証明されています。
その身体組織の異常は、学校へ行きたくない気持ちを伴おうが伴うまいが同じように腹痛を引き起こします。
それ故に①よりも②の方が確からしさで言えば上だと看做してよいでしょう。

もしその身体異常がが、学校へ行きたくない気は持ちのあるなしにかかわらず、同じように苦痛を起こすならば、その気持ちに何らかの因果的な役割を与える余地があるのでしょうか。
「ある」と答えたいならば、その気持ちによる腹痛の説明が医学的・生理学的な説明よりも説得力のある説明を示す必要があります。
そうでなければ、医学的・生理学的説明を放棄し、非物質的なものが発する神秘的な魔力のようなもの容認するしかなくなるでしょう。