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6.因果的な働きとは

念力をかけた後にモノが動いたり、呪いをかけられた人が苦痛を感じるのを見て私たちが納得するには、それらが何らかの物理的なメカニズムに関する説明が行われたり、私たちが目にしたものが偶然に起こったものである事が示されたときでしょう。

例えば、念力をかけたときにその人から発せられるに何らかの波動がモノを動かしたことが立証されれば、念力でも、「因果的」な働きをするのだと納得出来る筈です。
ただ、その時、念力でモノが動いたのではなく、念力をかけられた時に発せられた何らかの波動によることになってしまいます。

手に触れていないのにモノがひとりで動くという現象に納得出来る説明を与えようとするならば、念力そのものとしての因果的な力が介入する余和はないという事になってしまいます。

また、呪いをかけられた人が胸に痛みを覚えたとき、たまたまその人が何らかの運動をしていたとしましょう。
そして、検査の結果、胸の痛みが急激な運動によって与えられた衝撃からきているという自失が明らかになったとしましょう。
そのとき、呪いをかけられた人が苦痛を覚えたのは急激でしかも慣れない運動のせいであり、呪いのせいではない事になります。
呪いをかけられた後に苦痛が生じたのは偶然のタイミングで、この場合もやはり、苦痛に対して何の因果的な力も持たない事になります。