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5.理由と原因

「理由」には、ある行為に対して理にかなった解かり易いものにする(合理化する)という働きがあります。
理由は、合理化によって行為を「説明する」働きがあります。
理由として挙げられたものが信念や欲求などの心的状態を表わしていたりします。
仮に、行動の理由が、信念や欲求、糸などの心的状態であり、なおかつ、それらが原因にも為り得ることが明らかになった場合、それによって、行動の説明を与える信念や欲求以外の心的状態もまた原因に為り得ると考えられるかもしれません。

デイヴィドソンの代表的な主張の一つに、「行為の理由が行為の原因である」というものがあります。

デイヴィッドソン以前は、「理由」と「原因」は別次元で成り立つものであって、それらに何らかの一致点が見出されるとは考えられていませんでした。
「理由」の役割は、それを与える事によって、ある物事が理にかなったものになるということであり、それは「合理性」の問題でしかありませんでした。

それに対して、あるものを引き起こすかどうかの「因果性」は、理にかなうと解かり易いとは無関係に見えます。
合理性と因果性という、一見相容れないようなことを結び付けたことがデイヴィッドソンの功績です。