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10.心のありか

この『心のありか』は、心的因果の問題という目的地へと旅するにあたっての旅行ガイドというよりも旅行記のようなスタンスで書かれています。
あらかじめ、俯瞰的に全体を眺めて、どういうルートを辿れば効率的な楽しい旅ができるということよりも、実際に自分で旅をしてみて、心に残る素晴らしい体験ばかりでなく、失敗や苦杯も全て記録するような形で書き進められています。

心的因果に取り組むに当たり、私たちは様々な困難にぶつかります。
そして、それをどうすれば乗り越えられるかを考えます。
著者はなるべくその都度有効な手段を提供するつもりだと言い、しかし、すっきりと解決した結果を残さずに不満がくすぶるかもしれないといいます。
しかし、哲学の問題に明確な解答はない事を知るべきです。
それでもなお、挑戦する意欲を持ってもらうために、著者はこの『心のありか』で当たって砕けろを地で行っているといいます。

また、この『心のありか』で繰り拡げられている考察が、初めて心の哲学を学ぶ人や、心の哲学に関心を持った人の問題意識を深める一助になればと著者同様私も願っています。

さらに、行動の説明に用いられる「心」が何ら因果的な役割を果たせていないのではないか、何の因果的な力も果たせないのではないのではないか、という殺伐とした予測から私たちを解放するのに役立てばと、著者は言っています。