心の行方~哲学的、心理学的、科学的に心とは何か~ TOP > 2.ディヴィドソンの三原則と心の出来事

2.ディヴィドソンの三原則と心の出来事

①②③がどれも正しいのにも拘らず、同時には成り立たないという事態に対処するためには、方法が三つあります。
三つの中からどれかが誤りである事を示すか、あるいは三つの説が同時に成り立つ説を考え出す事しかありません。
前者は①②③のいづれもが私たちの因果性に関する考え方に深く根ざしたものなので、いづれかを否定する事はとても難しく有益な事とは思われません。

①の万引きの例は心的因果の根幹をなす原則で、②の物理法則を否定すれば、物理法則が全く無視した科学的根拠のないものが生まれてしまう可能性があるという、全くあり得ない考えが成り立つことになります。
そして、③のラーメンを食べようとして食堂に入りながらチャーハンを注文すると言った心の動きを否定してこころの因果性というものを余りに厳格で法則のようなものにすると、私たちの行動は全て法則によって決定されてしまうという事になり、「自由」の概念をどのように捉えるのかという新しい問題に直面する事になります。

以上の事を鑑みれば、後者の方法、つまり、①②③の原則が同時に成り立つ説を探すのが有益だと思われます。

この後者の方法が上手くゆくかどうかのキーポイントは、「出来事」という言葉の存在に関するものです。
この心の出来事という言葉は、ディヴィドソンでのキーワードで、心の出来事が心的な性質と物理的な性質との間にある関係性が、ディヴィドソンの考えには大きなポイントとなっています。
このレポートの「心の行方」は、まず、ディヴィドソンの考えを紹介します。
唯、文章が込み入っていて解かりづらくなりますが、心を折れずについてきてください。きっと心の問題に一筋の光が見える筈です。