心の行方~哲学的、心理学的、科学的に心とは何か~ TOP > 4.心の出来事と法則

4.心の出来事と法則

出来事は、それの心的なものに注目して記述されれば心的出来事となり、物理的側面に着目して記述されれば物理的出来事になります。
先に書いたように出来事はその「性質」において心的出来事でもあり、また、物理的出来事にもなり得るのです。
そして、心的出来事が物理的出来事と相互に影響を及ぼし合う事が出来るのは、その心的出来事――①で言えば、スーパーにある品物が欲しくなったという事――の物理的な性質、つまり、物理的側面――①で言えば、万引きするという事――が厳密な法則に適応――これは①の例からお金がないのにある品物が欲しくなったので万引きしたという一連の出来事――を受けているからです。

法則は一つの文として記述できます。
異なる二つの出来事の関係について述べる法則を形作るのは、出来事の特別な性質について取り出す働きをする言語表現、つまり、記述によって記述できます。

小難しく言うと、心的出来事と物理的出来事との間に因果的な相互作用があるならば、原因であると看做される心的出来事の物理的記述と、もう一方の物理的な出来事の物理的な記述を結び付ける何らかの法則が存在します。

先述の①に従って心的出来事(品物が欲しい)と物理的出来事(万引きをする)との間に何らかの因果的な相互作用が認められるならば、②によれば、心的出来事と物理的出来事には法則が存在する筈ですが、それの原因とされる心的出来事を物理的に記述したものと、結果である行動(物理的出来事)の物理的記述からなる法則であり、その法則は心的出来事が物理的に記述された時に限って適応されるのであるから、この場合は、③とも矛盾を来さないのです。